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『聴く』の先にある未知の世界

『聴く』には、耳を傾け、相手の心に寄り添いながら聴く、相手の気持ちや心情を理解しようと心から共感する姿勢で相手の言葉を聴く、という意味があります。

漢字の成り立ちだと、耳に目と心を+すると「聴く」という漢字になり、心をこめて、心の目で見て感じて聴くこと、という意味合いと、「徳を持って耳を傾ける」という意味合いがあります。

また、もう一つの考え方として、耳に十四の心という見方があり、耳だけでなく、十四の心で聴くようにしようという考え方もあります。

『聴く』と似た言葉として『傾聴』があります(同義と考える場合もありますが)。

『傾聴』とは、相手の話したいことに対して深く丁寧に耳を傾け、相手に肯定的な関心を寄せ内容の真意をはっきりとさせながら、共感的理解を示すコミュニケーションの技法と解されるように、ビジネスシーンやカウンセリングなどでよく使われます。

もちろんビジネスシーンやカウンセリング以外でも『傾聴』の場面はあるのでしょうが。。。

もう10年前になりますが、心理カウンセラーの勉強をしていた際、心理カウンセリングの大きな目標は、クライアントの自己肯定感を高めること。

その中で『傾聴』で重要なポイントとは、

・自分の興味や関心が中心ではない

・相手の言葉を追いかけるのではなく、会話全体に関心を持つ

・会話を通じて五感で相手の存在を感じて洞察する

・会話内容が重要ではなく、その背景が重要

つまり、相手を受け入れ、話を聞いてその通りだと思う、と教わった記憶があります。

自分自身も、『傾聴』はよく使っていますが、『傾聴』で大切なことはテクニックではなく、相手を理解しようとする姿勢。

聞き手にとっての、一番のメリットは相手を理解することができるということ。理解が深まることで、相手との信頼関係が構築されます。相手をしっかり理解できることによって、適切なアドバイスや指導ができます。

一方、話し手にとっては、自分自身の理解が深まります。

しかしながら、ビジネスシーンやカウンセリングにおける『傾聴』の先には、解決策やアドバイスという“決まった”出口がついてきます。

では、『聴く』はどうなんだろうか?

ビジネスシーンやカウンセリングでの『傾聴』と区別をするのであれば、『聴く』には“決まった”出口はないのではと思っています。

只々、入り口だけが存在し、その先は・・・

これまで、『傾聴』に囲まれた世界、『傾聴』を使う世界で長く生きてきた人間としては、『聴く』世界の経験はほとんどありません。

なのでうまく表現できませんが、

・答え(出口)はない?

・答え(出口)を探す必要はない?

・感じたまま、自分の感情のおもむくまま?

・そもそも、答えというものを求めていいのか?

・その言葉をどう受け止めて、どう感じ、どう寄り添うのか、そして、自分の感情がどう動くのか?

・ありのままを受け止め、ありのまま感じるためには何が必要なんだろうか?

みたいな???が次々と湧いてくる。

たぶん「その先」は、人それぞれ異なるんだろうなぁ。。。

『聴く』は入り口であり、その先に見えるモノ、繋がるモノ、感じるコトは、人それぞれ。聞き手のスタンスによるのかもしれない。。。

出口がある『傾聴』に囲まれた世界の中で多くの時間を生きてきた人間にとって、純粋に耳を傾け、相手の心に寄り添いながら聴く、心の目で見て感じ、相手の気持ちや心情を理解しようと心から共感する姿勢で相手の言葉を『聴く』世界は、どのように見えるのだろうか?

それとも、私の考える『聴く』とはまた別の『聴く』の世界があり、その世界を入り口として、その先には、今の私が想像しえない世界が無限に広がっているのだろうか?

『傾聴』とは異なる『聴く』の先にある未知の世界を経験したとき、心は、感情はどう動くのだろうか、どのような世界が見えるのだろうか、と好奇心の虫がウズウズ。。。

『聴く』について、考える機会をくれた知人に感謝、感謝です。

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